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【書評】日本はこれからどうするべきか?/高橋洋一

ご存知の方は多いだろう嘉悦大学教授高橋洋一氏による本である。

出版されたのが2020年6月10日となっているので最新中の最新刊である。

本著は5つのカテゴリー分けをされている。

①日中関係 ②日朝関係 ③イギリス・イラン・韓国・ロシアとの関係

④財政危機に対して ⑤少子化、年金危機、格差問題

その中でも、特に記憶に残ったものを書き記しておきたい。

①日中関係

この章で興味深かったのは、中国の独裁体制の本質からくる対外諸問題だ。

まとめていえば、

・中国は外資系企業の中国マーケットへの参入への見返りに50%以上の中国資本を入れさせ、そしてその過程で技術を転用し、自国で安い労働力を使い、自国で生産してしまうというシステムの構築。

・独裁国家による理論上の経済発展が見込まれない域に達した中国の一帯一路政策。中国が主導で作ったAIIB(アジアインフラ投資銀行)による諸外国へのインフラ投資により、投資先国でのインフラの権利、中国企業への工事発注、中国人労働者と、投資先国でほぼ中国の支配下でお金を回しているとのことだ。投資された国はインフラを中国に管理され、返済を続けなければならない。

 しかし、AIIBは信用力が低く、米が主導でつくり日本が協力する形のADB(アジア開発銀行)が存在し、そちらの方が信用力も高い。資金を集める上でも信用力が高い方に軍配が上がる。一帯一路政策はうまくいかないであろうとの結論だ。

②日朝関係

対北朝鮮に対し、どのような戦略を取るべきかということが理論を使い記されていた。内容は割愛させていただく。

③イギリス、イラン、ロシア、韓国

イギリスのEU離脱が失敗に終わるであろうということが書かれている。

EUの移動の自由さ等のメリットが、移民受け入れ等のデメリットを凌駕するとの見解であった。

その他は割愛させていただく。

④財政危機に対して

高橋洋一氏が幾度となく訴えている日本において財政危機は存在しないとの内容。非常に興味深いものであった。IMFが出している内容が対国内と対海外での内容が変わっているとは。日本以外に対するIMF(国際通貨基金)は日本の資産-負債はほぼゼロであり、ほとんど無借金なのだ。

しかし、日本国内向けには消費税を15%にあげるよう提言している。

財務書とIMFの関係性も詳しく書かれ、なるほどと感じることが多い章であった。

⑤少子化

少子化に対して、AI等の技術の台頭が見られる現代においては、子どもを増やすのではなく、一人一人の生産性をあげることが重要であると記されいた。

そして、今行うべきは高齢者の働ける環境の整備、全世代における働き方改革を行うべきだということだ。

年金の問題も若者が何人で高齢者1人を支えるという図がでがちだが、

要は金額の問題であり、若者の生産性をあげ所得を増やしてしまえば問題がないという理論だ。

これを実現するためには相当既得権益層と戦わなければならないであろう。

そして、この章の最後のトピックスは「歳入庁」の設置である。

維新の政策の中にも「歳入庁の設置」という項目がある。

これは要するに年金と税金を徴収する部署を一元化しましょうとの政策である。日本の税金は回収率はかなり高いものとなっているのだが、年金の回収率は高いものではない、取り逃しだけで10兆円程あるのだという。これをするだけで消費税の増税はいらないとのロジックだ。もちろん、そのように簡単な話で済む問題ではなさそうではあるが、気になる方は是非、本書に目を通していただきたい。

使い古された言い回しではあるがこれからはAIにより、激動的に時代が変わるであろう。この拙い書評を読んでくれている方々には是非とも、その激動の波を乗り切れるよう早めに準備をしていただきたいところである。

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